2022.12.23
M&Aコラム
「M&Aとは何なのか?」詳しく解説します!
今、日本で注目されているM&A(エムアンドエー)。
ニュースや新聞などのメディアで耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今回は話題のM&Aについて意味や目的、詳しい取引の流れなどを解説しました!
M&Aとは何なのか?意味や目的は?
M&Aの意味
M&AのMはMergers(企業や会社同士の合併と買収)という意味で、
AはAcquisitions(取得・買取)です。
直訳すると、合併と買取という意味になります。
別の言い方をすると、「事業譲渡」や「会社分割」などが挙げられます。
ではなぜ、今注目されているのでしょうか?
売り手企業と買い手企業それぞれの目的を分けて解説します。
M&Aの目的
売り手企業と買い手企業双方がウィンウィンでなければ成り立たないのがM&Aですが、それぞれの目的は何なのでしょうか?
売り手企業の目的から解説します。
日本の中小企業では、少子化や進み続けるIT化に対応ができず、経営不安から約65%の企業が後継者不足(帝国データバンク調べ)になっていると言われています。
後継者が見つからなければ事業を存続することは難しく、廃業を検討せざるを得ないという状況です。
M&Aは、そんな後継者問題や従業員雇用の存続を解決するために活用されます。
また、会社全体を譲渡するという方法だけではなく一部を譲渡するという方法もありますので、事業を整理するという目的でM&Aを検討する企業もいます。
買い手企業の目的
既存の事業を拡大することや新規事業への参入、コスト削減などが挙げられます。
一から新規事業を立ち上げるにはお金と時間がかかります。
ノウハウを持っている企業をM&Aによって事業承継すれば、リスクやコストを抑えることができるという訳です。
M&Aの歴史や発祥は?
最近話題に上がることが多いため、M&Aの歴史は浅いと思われている方もいると思いますが実は歴史が長いのです!
昭和初期には電力の激戦時代により経営破綻してしまった企業の再生を目的にM&Aが国策として取り入れられます。
その際に「IPO」と「株式交換」がブームになります。
IPOは直訳すると、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」で、未上場の企業が投資家に向けて株式の販売を始めることをいいます。
株式交換とは、売り手会社の全株式と買い手会社の一部株式を交換して、完全に親会社と子会社の関係を作り上げる手法です。
当時の株式交換によるM&Aが日本経済を回復させたと言われているほどになります。
バブル崩壊後もM&Aは積極的に取り入れられていて、1980年代から2000年代には取引件数が6倍以上にもなっています。
また2021年には日本で過去最大の取引件数になっていて、4,280件に及んでいます。(日本経済新聞調べ)
M&Aのメリットとデメリット
目的の部分で少し記載いたしましたが、売り手企業と買い手企業のメリットデメリットに関して詳しくご紹介します。
M&Aは企業存続のため有効な事業承継の手法と言えますが、しっかりとした準備が必要です。
失敗や後悔を防ぐためにも、メリットとデメリットを理解した上で検討することをおすすめします。
売り手企業のメリット
後継者問題の解決
近年、経営者の高齢化が深刻になっています。
1995年、経営者年齢の中央値が47歳だったのに対して、2015年の中央値は66歳となっていて20年もの間に20歳近く年齢が上がっているのがわかります。
また、2015年からも更に進んでおり現在は70歳前後まで年齢が上がっていると言われています。(中小企業庁調べ)
このまま経営者年齢が高齢化していくと、後継者がどんどん不足し廃業に追い込まれる企業が増えてしまいます。
M&Aを利用し第三者に事業を継承してもらうことで廃業を防ぐことができます。
従業員の雇用や取引先を維持することができる
廃業すると、従業員は路頭に迷うことになり、取引先にも迷惑がかかります。
M&Aで第三者承継すれば従業員を解雇する必要なく事業を継承してもらえます。
事業の拡大が見込まれる
M&Aで優良企業に自社の経営を任せることによって自力ではなしえなかった成長や拡大を見込める可能性が大いにあります。
自社より規模が大きい企業の傘下に入ることにより販路拡大や資金調達もしやすくなるため大きなメリットと言えるでしょう。
廃業するためのコストがかからない
廃業するには想像以上に様々なコストがかかります。
一例ですが、各種登記や証明書の発行から借りている物件の修繕費、在庫の処分費などがあります。
また、解雇する従業員の補償も費用に入ってきます。
社員数が多くなれば多くなるほどその費用は膨らむと言われているため廃業するにも多額の費用がかかります。
M&Aは廃業する必要がないためコストがかかりません。
事業を売却することで収入を得られる
会社を売却することが成功すれば、現金や株式を得ることができます。
その資金を老後資金に充てて、ハッピーリタイアをする経営者も少なくありません。
会社全部ではなく、一部売却することも可能
M&Aは必ずしも会社全部の売却ではなく、一部の事業のみ売却をすることも可能です。
一部売却し、それで得た収益で本業事業を立て直すという資金調達の方法もあります。
売り手企業のデメリット
買い手企業が見つからないor自社の評価額が低い
M&Aでの取引は一期一会になります。
買い手企業はその企業にどれだけの利益見込みがあるか、将来性があるかなど複合的に評価するため、見込みがなければ買い手が見つからないという可能性もゼロではありません。
売り手企業としてはいかに自社の条件に合う企業と取引できるかが肝になりますが、買い手企業としても「この企業をなら取引したい」と思ってもらう必要があります。
少しでも自社の希望に合うマッチングができるよう情報収集が必要不可欠になります。
取引成立後に内部の問題が発覚すると取引が白紙になる可能性もあるため、経営の改善や従業員への給与未払い、取引先とのトラブルなどを事前に解決しておく必要があります。
そして、買い手企業が見つかった場合も、条件の交渉など数多くの段階があるため成立するまで数ヶ月から数年の時間がかかるケースが多いです。
企業同士の社風や文化など合併に時間がかかる
社風や方針が違う企業同士が合併することにより社内で混乱が起こる可能性があります。
使用しているシステムやツールの変更もあるため売り手企業の従業員には少なからず負担がかかります。
取引先との関係悪化や反発が起こる可能性がある
別企業の傘下に入ることにより既存の取引先との契約修正や大幅な変更をせざるを得なくなる可能性があります。
そのため、取引先との関係が悪化し最悪の場合は契約の打ち切りになる可能性もあります。
M&Aの取引が決まり次第、取引先には早めにその意向を伝えて対策するなどし、理解を得る必要があります。
売却の利益に対して税金がかかる
M&Aの取引手法である「株式譲渡」での取引の場合、固定の税率で20.315%の税金が課税されます。
課税されることを覚えておきましょう。
買い手企業のメリット
一から事業を立ち上げるより迅速に事業を立ち上げることができる
買い手企業の一番のメリットとして、一から事業を立ち上げるより迅速に事業展開できることが挙げられます。
一から立ち上げた場合、事業計画やマーケティング、従業員の教育など、やらなくてはいけない手順が数多くあります。
M&Aを活用することで割愛でき、ノウハウがある状態から事業をスタートできるため、波に乗れるスピードも早い可能性が高いと言えるでしょう。
M&Aは事業立ち上げのリスクやコスト、時間を買い取るというイメージになります。
事業規模の拡大や多角化、従業員確保を図る
買い手企業からするとノウハウを買い取るため、短い期間での事業拡大を図れます。
取引先の拡大はもちろん、従業員の技術まで広げることができるのです。
また、事業を存続させるためには事業を多角化させることも重要です。
多角化させることにより、事業がより安定し、また弱点強化に繋がります。また少子高齢化に伴い従業員確保も業務拡大において重要な視点です。
結果的に節税や経営の効率化に繋がる場合がある
企業の赤字は7年間の繰越が有効です。
買収した企業が赤字を抱えていた場合、買い手企業が負債を受け継ぎ繰り越された赤字は買い手企業の黒字と相殺が可能です。
ただし適用スキームは限定的なため、節税が目的ではなく、結果的に節税になる可能性があると考えた方が良いでしょう。
買い手企業のデメリット
多額な資金が必要になる
規模が大きい企業や評価が高く今後の見込み価値が大きい企業ほど取引するには資金が必要になります。
先行投資には違いありませんが、資金調達は買い手企業からするとデメリットになるでしょう。
期待した効果が得られない可能性がある
M&Aはどれほどの効果が見込めるかによって取引額が変わってくるものですが、見込んだ効果ほどの結果が出ない可能性もゼロではありません。
想定していた効果が見込めないどころか、キャッシュフローが悪くなってしまう可能性もあるため、入念な下調べや事前調査が必要になります。
売り手企業の従業員の反感を買ったり、離職してしまう可能性がある
統合により社内では給与や福利厚生など大きな変化があることから、優秀な人材や技術者が離職してしまう可能性があります。
離職まではいかなくとも、社員のモチベーションを維持することができずに期待した通りの成果があがらないことや、買い手企業の社員と売り手企業の社員間でトラブルなど予想外の出来事が起きてしまう可能性があります。
M&Aの手順・流れ
では実際のM&Aの流れはどのようにして行うのでしょうか?
今回は仲介業者に依頼する前提で、基本的な流れをご紹介します。
- M&Aを検討する仲介業者、M&Aマッチングサービスを探す
- 仲介業者と契約をする
- 売り手・買い手企業を探す
- 秘密保持契約(NDA)を締結する
- 基本的な情報の開示をする
- 経営者同士の面談(トップ面談)
- 意向表明書を掲示する
- 基本合意書・独占交渉権を交わす
- デューデリジェンス(DD)の実施
- 最終譲渡契約書を締結する
- クロージング
- クロージング後の諸手続き
1.M&Aを検討する
まずは会社の現状を分析して、目標を達成するためにM&Aという手段が適切かどうかを分析します。
また、同時に売り手企業に関してどのような企業がいいのか、自身で探すのかFAや仲介業者に頼むのかも合わせて検討が必要です。
自身で探す場合は新聞、業界の情報誌、営業担当が展示会などで持ち帰った資料などの情報収集が一般的になります。
今回は仲介業者に依頼する流れでご紹介します。
2.仲介業者やマッチングサービスを探す
M&Aの仲介業者は多数存在します。
会社によってスタンスや対応範囲なども各社によって異なるため、仲介業者の情報収集も必要不可欠になります。
どこが適正で自社に合うかわからない方は、事業引き継ぎ支援センターという国の機関で相談やプラットフォームの紹介、登録代行などを無償で行っているのでそちらに相談するのもおすすめです。
3.仲介業者と契約をする
自身の情報収集から売り手企業に直接声をかけるケースも中にはありますが、基本的には売り手企業のターゲットが定まった時点で仲介業者と契約を結びサポートに入ってもらいます。
4.売り手・買い手企業を探す
買い手企業は、仲介業者から秘密保持を締結する前に開示できる簡易的な資料であるノンネームシートなどを元に売り手企業を選定します。
業績などのデータを元にどれくらいの相乗効果が期待できるかを分析し、魅力的な企業を絞り込む必要があります。
売り手企業は仲介業者のヒアリングによりリストアップされた買い手企業を選定し、交渉を進めます。
5.秘密保持契約(NDA)を締結する
交渉が進むとノンネームシート以上の内部情報を交換する必要があります。
そこで秘密保持契約を締結します。
秘密保持契約は直接交わす場合と仲介業者を通して交わす場合があるため、仲介業者に確認をとりましょう。
6.基本的な情報の開示をする
IM(インフォメーション・メモランダム)と呼ばれる企業の詳細が載っている資料や、プロセスレターという売り手から買い手に提示される取引条件やスケジュールなどを記載した書類を交わして情報を開示します。
IMもプロセスレターも基本的には仲介業者やアドバイザーが作成してくれます。
7.経営者同士の面談(トップ面談)
基本合意を交わす前に売り手企業と買い手企業双方の経営者同士で面談を行います。
ここではあくまでも、取引する企業がどのような社風でどのような経営者なのかを確認する場であるため条件の取引をする場ではありません。
質問をし合うことで不安な点や疑問のあることを解消できる絶好のチャンスになります。
8.意向表明書を掲示する
買い手企業は経営者同士の面談を経て、取引を進める場合は売り手企業に「意向表明書」を掲示します。
書面の内容は譲渡額や現時点で決まっているスケジュールなどが記載されています。
意向表明書の発行は義務ではないため、必須事項ではありませんが提出することによって売り手企業に前向きに検討している姿勢を見せることができるためスムーズに取引が進むと言われています。
こちらも仲介業者やアドバイザーを通じて提出します。
9.基本合意書・独占交渉権を交わす
最終契約書の前に交わす合意書を基本合意書といいます。
基本合意書は仮契約書に近く、意向表明書より詳しい取引内容が記載されています。
取引を確約するものではないですが、法的効力を持つため交わす前に念入りに確認しましょう。
基本合意書の中には独占交渉権というものがあります。
独占交渉権とは、この後のフローで多額な調査費用が買い手企業にかかるため、売り手企業が他の買い手企業との条件交渉を禁じるものになります。
10.デューデリジェンス(DD)の実施
基本合意書が交わされたら買い手企業はデューデリジェンスを行います。
デューデリジェンスはDDと略されることもあり、売り手企業を調査することで、必要に応じて財務・法務・労務調査を行います。
それぞれの専門家に調査を依頼するため費用がかさむ傾向にあります。
そこで売り手企業自らも想定していないリスクなどが見つかるケースもあるため、どれだけ深く調査するかも検討が必要です。
デューデリジェンスの結果が出次第、M&Aとして契約を結ぶか、条件の再交渉をするか判断します。
11.最終譲渡契約書を締結する
ここまで様々な条件の交渉やすり合わせをしてきましたが、ここで売り手企業・買い手企業共に取引内容に問題なければ「最終譲渡契約書」を締結します。
今までで一番重要な契約書になるため、改めてこの取引が本当に自社の目的を達成するのかを今一度考えた上で締結しましょう。
12.クロージング
最終譲渡契約書の締結が終わった後、契約書通りに移動が終わることをクロージングと言います。
13.クロージング後の諸手続き
クロージングが終わったからといって終わりではなく、クロージング後からやらなくてはならない事項があります。
PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)という統合経営作業が必要です。
買い手企業は計画した効果を最大限に引き出すために社内の体制や社員の意識、業務などを統合しなくてはならないのです。
クロージングから100日間の中長期事業計画を見直すことを100日プランといいます。
PMIは今後の事業成長や、そもそもM&Aの取引が成功したと言えるかの鍵を握る存在と言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
M&Aについて解説しましたが、取引成立には手順が多く難しいことが分かると思います。
ですが、成功した場合は大きな事業拡大に繋がるためチャレンジする価値は大いにあります。
M&A Passは、審査を通過した企業のみが掲載されている完全審査制M&Aマッチングサイトです。
全工程をオンラインのみで完結するサイトとは違い、マッチング後はファイナンシャルアドバイザーがリアルでサポート。
初めてのM&Aに不安を感じる経営者の近くで伴走します。
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