異業種M＆Aを成功させたい！実行する際のポイントは？

2025.01.30

M&Aコラム

異業種M＆Aを成功させたい！実行する際のポイントは？

M＆Aの一つに、異業種M＆Aがあります。収益の拡大やリスクの分散、既存事業とのシナジー効果を求めて多角化戦略に乗り出す企業は、どのように異業種M＆Aを進めることができるのでしょうか？今回は、異業種M＆Aを成功させるポイントについてご紹介します。

■異業種M＆Aをする目的とは？

企業を成長させるための手段として、M＆Aが選ばれる場合があります。異業種M＆Aは、その最たる例だと言えるでしょう。ここでは、異業種M＆Aの目的と他のM＆Aとの違いについてまとめてみました。

・多角化の方法として採択されるM＆A

新製品を既存の市場ではなく、新しい市場で展開するためには、多角化戦略を進める必要があります。異業種M＆Aは、企業の成長を促す多角化のための方法として採択され、主に新規事業への参入、既存事業とのシナジー効果を目的として行われるものです。異なる業界の企業とM＆Aを行うことで、市場だけではなく、技術やノウハウを取り入れることができます。例えば、DX化が推奨されている現在、M＆Aを実行することによって、自社にはない新たな市場にリーチすることができるでしょう。そうすることで、新しい収益源を確保し、リスク分散や事業の安定・成長を見込めます。

・水平型M&Aや垂直型M&Aとは異なる

異業種M＆Aは、水平型や垂直型のM＆Aとは異なります。異業種M＆Aが異なる業界に属する企業間で行われるものであるのに対し、水平型M＆Aは同じ業界の企業間で行われるものです。また、垂直型M＆Aは水平型と同様、同じ業界内で行われますが、製造会社や製品を販売する会社を統合する時など、川上と川下の企業がM＆Aをする際に行われます。異業種M＆Aは、同じ業界に属する企業間で実施される水平型や垂直型のM＆Aよりも件数が少なく、成功させるためにもしっかりとした準備が必要です。

■異業種M＆Aを成功させるポイント

新しいビジネスチャンスを掴める異業種M＆Aですが、成功に導くにはいくつかのポイントに留意しなければなりません。

・M＆Aの目的を明確にする

異業種M＆Aを成功させるには、M＆Aを行う目的を明確化することが求められます。どんなM＆Aを実施する際にも、目的をはっきりさせることは戦略策定の最初のステップとなりますが、大きなシナジー効果が望める異業種M＆Aでは特に大切な工程です。企業を多角化するために行うM＆Aであるとは言え、新技術を導入して既存事業の強化を目的にしたものと、新規事業に参入して収益拡大を目的にしたものとでは、成長の方向性が変わってきます。そのため、異業種M＆Aを検討する時には、まずはどのように企業を成長させたいのかを考慮し、目的を明確にすることが何よりも重要です。M＆Aの目的が明確になれば、シナジー効果を最大限に得られるよう戦略を具体化できるでしょう。

・徹底的にリスクマネジメントを行う

異業種の間で行われるM＆Aを成功させるのであれば、リスクマネジメントを徹底して行うべきです。同業種の場合なら、市場や業界についての知識や経験が豊富なため、M＆A実施時に起こり得るリスクを把握しやすいかもしれません。しかしながら、異業種M＆Aでは、どんなリスクが発生するかすら掴みにくい可能性も。また、異業種M＆Aでは文化的摩擦が起きやすいため、統合プロセスが滞る恐れがあります。M＆Aを実施した後に、スムーズに業務を進めるためにも、PMI（ポスト・マージャー・インテグレーション）を実施してリスクマネジメントに努めましょう。PMIでは、新経営体制の構築や経営ビジョン実現のための計画策定をはじめ、ITシステム統合など、業務オペレーションの統合に取り組む必要があります。

■まとめ

異業種M＆Aは、企業を多角化し、新しい分野に進出したり新しい市場を開拓したりする際に活用される場合があります。異業種M＆Aは、同じ業界の企業同士が行う水平型や垂直型のM＆Aとは異なり、発生するリスクも多種多様です。異なる業界がM＆Aで統合し、シナジー効果を得るためには、M＆Aの目的の明確化とリスクマネジメントが欠かせないでしょう。