M&Aコラム/動画/インタビュー

 インバウンド需要が回復し、ホテル・旅館業界の市場は拡大しています。新規参入する企業も増えていますが、業界特有の様々な課題に直面している企業も少なくありません。今回は、ホテル・旅館業界の動向を探りつつ、M＆Aを行うメリットについてご紹介します。

■ホテル・旅館業界の動向について

歴史的な円安の影響で、日本のインバウンド消費は絶好調を記録しています。ここでは、インバウンド需要で恩恵を受けるホテル・旅館業界の動向と課題についてまとめてみました。

・市場はコロナ禍以前の水準まで回復！

帝国データバンクのホテル・旅館業界の売上高に関する調査によると、2023年度の売上高は4.9兆円前後で、コロナ禍以前の水準まで回復しました。調査対象となった931社の中で減収したと回答した企業は2.9％で、2021年4月（75.7％）の調査時に比べると大幅に減少したことがわかります。また、日本政府観光局（JNTO）によると、2024年の訪日外国人数は7か月連続で過去最高を記録しており、2024年の旅行動向全体では2019年を上回る見込みです。このように、ホテル・旅館業界の市場は、活気を取り戻していることが明らかになっています。

・ホテル・旅館業界の主な課題は？

ホテル・旅館業界は成長市場でありながらも、課題が全くない訳ではありません。どんな課題を抱えているのかについて見ていきましょう。

☑慢性的な人手不足

他の業界同様、ホテル・旅行業界においても人材の確保は大きな課題となっています。超高齢化社会に突入した日本各地の観光地では、スタッフの高齢化が顕著です。長時間立ちっぱなしの業務に加え、重い荷物を運ぶ作業など、体力的にハードな仕事が多く、なかなか求人が集まらないことも問題となっています。

☑施設の老朽化

多くのホテルや旅館が老朽化し、施設の改修やリノベーションが求められています。老朽化を放置するなら、安全性の問題や観光地の景観を損ねるなどの理由から、集客に影響が出るでしょう。大規模な改修には多額の資金が必要ですが、資材の価格高騰、工事費や建築費の値上がりが見られ、中小規模のホテルや旅館にとっては負担が大きいのが現状です。

☑競争の激化

外資系ホテルチェーンはもちろん、日系ホテルも建設ラッシュを迎えているようです。2023年の宿泊業用建築物の着工件数は、コロナ禍前の水準に回復しています。戻っていると言われています。特に都市部を中心にで新しいホテルや宿泊施設が次々と開業しており、競争の激化が見られます。そのため、生き残りを掛けて、価格競争やサービスの多様化が進行中です。

☑後継者不足で事業承継が難しい

地方の旅館や小規模ホテルでは、経営者の高齢化に伴い、後継者不足の問題が深刻です。家族経営が多い中小規模のホテルや旅館では、親族内にふさわしい後継者が見つからず、事業承継に頭を悩ませることも少なくありません。

■ホテル・旅館業界がM＆Aを行う3つのメリット

インバウンド需要の恩恵を受けながらも、課題が尽きないホテル・旅館業界。それらの課題の解決策として、M＆Aを検討している企業もあります。

1. 事業規模の拡大

M&Aを実施することにより、ホテルや旅館の事業規模の拡大が可能です。観光地や都市部での複数拠点の運営が行えることで、集客力の向上や運営効率の改善が期待できます。また、運営管理や予約システムの統合、スタッフの再配置などにより、運営コストの削減やサービス品質の向上を図ることができるのも大きなメリットです。さらに、M＆Aを行うことで、ブランド力を強化することもできるでしょう。

2. 施設リノベーションの資金調達が可能に

老朽化した施設の改修や新しい設備導入には、M&Aによって得られる資金やリソースが役立ちます。特に大手ホテルチェーンが小規模施設を買収することで、設備投資やリノベーションが加速し、施設の魅力を高めることができます。

3. 後継者不足の問題を解決する

M＆Aによる第三者への承継は、事業承継問題を解決する手段です。中小企業庁の後押しを受けて、業界業種を問わず、M&Aによって後継者不足の問題を解決するケースが増えています。ふさわしい後継者が見つかり、安定した経営が続けられるなら地域の発展にも貢献できると言えるでしょう。

■まとめ

 ホテル・旅館業界は、インバウンド需要や国内旅行市場の拡大に伴い、成長が見られます。新たに市場参入を果たす企業もあり、成長市場のように見える一方で、人手不足や施設の老朽化、後継者問題などの課題にも直面しています。これらの課題を解決するために、M&Aは有効な手段となるでしょう。業界の将来を見据えて、適切なM&A戦略を選択するなら、競争力強化と持続可能な成長を果たすことができます。

最後に

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