IPOとは？M&Aとの違いとメリットについて

2024.12.10

M&Aコラム

IPOとは？M&Aとの違いとメリットについて

IPOとM&Aは、企業のイグジット戦略で用いられることがあります。多くの投資家や起業家は、事業の投資資本を回収し、利益を獲得する方法について考えているのではないでしょうか。今回は、イグジットにおけるIPOとM&Aとの違いについてご紹介します。

■IPOとM&Aの違いについて

イグジットの具体的な戦略を立てるためには、イグジットの方法についてよく検討しなければなりません。ここでは、IPOとM&Aの違いについて見ていきましょう。

・IPOは新規上場

IPO（Initial Public Offering）は、日本語にすると「新規株式公開」です。未上場企業が株式市場に株式を上場させ、新株を発行して株主を公募したり、経営者や出資者が保有していた株式を売却したりします。こうして、新規に株式を流通させることにより、不特定多数の投資家に株式を売却して収益を得ることが可能です。企業規模を大きくするために有効なIPOは、企業の知名度と社会的信用力をアップさせるのにも役立ちます。建設業界ではかつてIPOが盛んに行われていましたが、現在はM&Aが増加しています。

・M&Aとの違いは？

イグジット戦略におけるM&Aでは、株式交換や事業譲渡などの手法が用いられます。IPOとM&Aの違いは、イグジット後も経営に携わるか、携わらないかという点です。IPOでは新規上場した後も経営に携わりますが、通常M&Aでは経営権や事業を譲渡するため、M&A後には経営に関わることはほとんどありません。

・IPOとM&A、どちらが多い？

2023年の日本国内のIPO上場数は96社でした。一方、2023年のM&A件数は1068件で、3年連続で増加傾向にあります。これまで日本国内ではIPOが行いやすい状況にありましたが、大企業の間だけではなく、スタートアップ企業の間でもM&Aが普及するにつれてその件数が増えてきました。ただし、M&Aの件数が増えている理由として、企業のイグジット戦略として選ばれている場合もありますが、事業承継問題の解決策にM&Aを選択する企業が増えていることが挙げられます。

参照サイトURL：

https://ipokabu.net/data/2023

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000114.000034249.html

■IPOのメリット・デメリットは？

IPOのメリット・デメリットを知ることで、企業にふさわしいイグジットの仕方を検討することができます。

・さらなる事業拡大を目指せる

資金調達は経営の安定化、事業の成長に欠かせません。IPOで金融機関からの借入以外の資金調達が可能になれば、資金力をもとにさらなる事業拡大を目指すことができるでしょう。融資に当たる金融機関からの借入には、返済義務が発生します。銀行などの金融機関からの借入の場合、元金に加えて、元金にかかる利息も支払わなければなりません。しかしながら、IPOであれば、元金や利息などの返済義務が全く必要ない資金を集めることができます。

・社会的信用が増す

IPOを行うなら、企業価値を高めることが可能です。上場するには、厳しいことで知られる上場審査を通過しなければなりません。新規上場には、株式数や財務数値などの数値を達成する形式要件に加えて、企業の継続性と収益性、企業経営の健全性などの実質審査基準をクリアするなど、証券取引所が定めている条件を満たす必要があります。そのため、IPOを行うことで社会的信用が増し、営業だけではなく、優秀な人材を採用できるといった雇用の面でもメリットがあります。

・IPOのデメリットは？

IPOを行うには、入念な準備が求められます。通常、上場のために準備を始めてから実際に新規上場するまで、最低でも3年は掛かると言われています。また、上場申請のためにかなりの費用が必要になることも、IPOのデメリットです。IPOでは会社としての資金調達はスムーズに行えますが、経営者個人は利益を得にくいのもデメリットだと言えるでしょう。M&Aでは、売り手企業と買い手企業の合意が早ければ、IPOよりも早く売却して利益を獲得することができます。しかし、M&Aにおいては、株式ではなく、基本的には経営権や事業の売却になる点が大きく異なります。

■まとめ

企業のイグジット戦略で用いられることがあるIPOとM&A。新規上場であるIPOは、金融機関からの融資以外の資金調達手段になり得ます。IPOでは企業として利益を獲得でき、さらなる事業の拡大に繋げることができるでしょう。