- 【公式】M&A Pass（M&Aパス）

2024.12.01

M&Aコラム

非上場株式は譲渡できる？譲渡方法について

自社株式を証券取引所に上場しておらず、未上場の企業である非上場企業。非上場企業のM&Aは、どのように行われるのでしょうか？今回は、非上場企業の株式の譲渡方法についてご紹介いたします。

■非上場株式の譲渡について

・非上場企業について

上場企業は、自社株式を証券取引所に公開しているため、投資家が自由に株式を売買できます。このため、上場企業は資金調達の点で強いと言えるでしょう。一方、非上場企業は自社の株式を証券取引所に公開しておらず、証券取引所において株式を売買することは不可能です。非上場企業の資金調達は、経営者の自己資金と金融機関からの借入れがメインとなっています。上場企業のように株式発行による資金集めをしようと思う場合、非上場企業自ら投資家を集めなければなりません。非上場企業の場合、優先株式発行という手法が活用できますが、投資家探しは容易ではないと言われています。

・非上場株式は譲渡できる？

非上場企業の多くは中小企業です。証券取引所に公開していないため「自社株式を譲渡するのは難しいのでは？」と考える方もおられるかもしれませんが、非上場企業が自社株式を譲渡することは可能です。株式を公開していない非上場企業のM&Aにおいて、敵対的買収が行われることはまずありません。中小企業の中には、株式譲渡制限会社もあります。会社法によると、株式譲渡制限会社とは、すべての株式の譲渡に制限がある企業のことです。株式譲渡に制限がある企業の場合、取締役会（取締役会がない企業では株主総会）の承認を得てからでなければ、株式を譲渡することはできません。

■非上場株式の譲渡方法とメリット

非上場企業は買収リスクが少ない企業です。自社の株式を企業方針に従わない人物の手に渡らないようにするため、あえて非上場企業を選択する企業もあります。しかし最近では、自社の売却を検討する非上場企業が増えているようです。ここでは、非上場株式の譲渡について見ていきましょう。

・贈与の場合には税率の高さに注意

非上場企業が自社の株式を譲渡する際には、直接交渉や相続・贈与などの方法が挙げられます。例えば、非上場企業のオーナーが自身の親族に非上場株式を贈与したとしましょう。贈与は契約による相続財産の移転となり、基礎控除が低い贈与税のほうが相続税よりも税率が高くなります。非上場株式も財産とみなされますから、贈与による非上場株式の譲渡は、税金についてよく検討する必要があるでしょう。また、非上場株式を譲渡する際には、株式譲渡によるM&Aを検討することもできます。

・非上場企業のM&A

非上場企業で株式譲渡制限会社である場合、株式譲渡承認の手続きを行わなければなりません。この手続きに際して、株式譲渡承認請求書を作成する必要があり、買い手側は売り手である非上場企業にこの書類を提出します。その後、非上場企業は取締役会、もしくは株主総会で株式の譲渡について決議します。取締役会や株主総会を設置していない企業では、取締役または代表取締役が意思決定を行っているため、株式譲渡についても取締役などの承認を得なければなりません。非上場株式を譲渡する承認を得てはじめて、非上場企業を第三者へ売却することが可能となり、M&Aを進めることができます。

・非上場株式を譲渡するメリット

非上場企業の多くは中小企業であり、中小企業は事業承継の問題を抱えていることが少なくありません。M&Aの株式譲渡により非上場株式を譲渡すれば、廃業する必要がなく、事業存続への道が開けるでしょう。相続による非上場株式の譲渡には相続税が課されます。M&Aで株式譲渡した場合にも所得税が課されますが、相続の場合よりも税金を安く抑えられるというメリットがあります。

■まとめ

株式を公開していない非上場企業も、株式の譲渡は可能です。非上場株式の譲渡方法にはいくつか種類がありますが、企業にとってベストな方法を選ぶことができるでしょう。