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2024.08.06

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【巨額M&A】USスチール買収で日本製鉄はどう変わる?

 

2023年12月、日本製鉄は米ペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置くUSスチールの買収を発表しました。全米鉄鋼労働組合(USW)や政治家からの反対、さらにはバイデン大統領からの反対声明まで引き出した今回の巨額M&A。民間企業同士のM&Aであるにもかかわらず、なぜこれほど注目を集めているのでしょうか?

 

■M&Aで成長市場に乗り込む日本製鉄

国内需要が先細りする中、アメリカ市場に目を付けた日本製鉄。堅調な経済成長を見せるアメリカで高まる鉄鋼需要に、さらなる成長を求めた日本製鉄は、M&Aの実行を決断しました。

・世界最大の企業だったUSスチール

日本製鉄によるUSスチールの買収発表は、鉄鋼業界に大きなインパクトを与えました。買収額は141億ドル(約2兆円)で、これを「高すぎる買い物」だと考える方も少なくありません。1901年に設立されたアメリカ最大の鉄鋼会社であるUSスチールは、今でこそ粗鋼生産ランキングで世界27位ですが、かつては世界のトップに君臨し、世界最大の企業として知られた老舗大企業です。近年ではアメリカトップの席をニューコア(2022年度世界の粗鋼生産ランキング第16位)に譲り、3位の地位に甘んじているUSスチールですが、売却先として日本製鉄を選んだことにより、世界をリードする製鉄企業になることを目指します。

・買収が成立すれば世界3位に

度重なる統廃合の末、2012年に実施された新日本製鉄と住友金属工業の合併により誕生した日本製鉄は、日本国内最大の鉄鋼メーカーです。2019年には過去最大の赤字を記録した日本製鉄でしたが、翌年から始まった新型コロナによる需要低下や中国の鉄鋼メーカーが過剰生産したことで発生した鉄鋼デフレの中にあっても、粘り強く海外M&A案件を探していました。そうしてめぐり合ったのが、アメリカ老舗企業のUSスチールです。鉄鋼不況とはいえ、2022年度の世界の粗鋼生産量で、世界第4位にランクインしている日本製鉄。日本製鉄の粗鋼生産量は44437万トンでUSスチールは1449万トンですから、買収が成立すれば世界第4位から3位に躍り出ることが可能です。

 

■日本製鉄による海外M&Aは前途多難?

鉄鋼業界においては2番目に大きなディールとなる、今回の日本製鉄による海外M&A。企業同士は乗り気でも、外野が騒がしく、買収実現へのハードルは高くなってきているようです。

・日本製鉄の狙い

アメリカでさらなる保護主義化が強まる可能性があることを考えると、今後、鋼材を思うように輸出できなくなる恐れがあります。それを阻止するためにも、日本製鉄はUSスチールを買収し、なんとか北米拠点を確保したいところ。アメリカ国内トップの座は明け渡したとはいえ、高いブランド力を誇るUSスチールを買収できれば、 電気自動車(EV)向けの鋼板の需要を取り込めるほか、鉄鋼資源を確保することができます。

・問題山積みのM&A

USスチールの合意さえ得られれば、買収完了という訳にはいきません。USスチール買収を成功させるには、株主総会で承認を得たり、アメリカの当局による審査をクリアしたりする必要があります。さらに、場合によっては、アメリカ議会と交渉しなければならない可能性もありますると言います。全米鉄鋼労働組合(USW)からは反対されており、USスチールに対して、日本製鉄のような海外企業ではなく、同じアメリカの企業であるクリーブランド・クリフス社の提案を受けるべきだと主張しています。このように、なかなかスムーズに進まないUSスチール買収ですが、買収が成立したとしても、M&Aが成功するとは限りません。というのも、急成長を見せていた世界のEV需要に陰りが見え始めてきたからです。中国に次いで大きなアメリカのEV市場、富裕層だけではなく、一般消費者にまでEVが普及するようになれば、日本製鉄の海外M&Aは成功するのではないでしょうか。

・大統領選の行方を左右する?

大統領選で再選を目指すドナルド・トランプ前大統領は、フロリダ州にある私邸で行った勝利演説の中で、「アメリカを取り戻す!」と宣言しました。その宣言通り、トランプ前大統領は、大統領に選出された暁には、日本製鉄によるUSスチールの買収を絶対に阻止する意向を示しています。また、対抗馬であるバイデン大統領も、「USスチールはアメリカの企業であり続けなければならない!」との声明を発表。どちらも、鉄鋼業界の労働者たちからの支持を集めたい模様です。大統領選の行方を左右するかもしれない、日本製鉄によるUSスチール買収、どのような結末を迎えるのか今後も目が離せません。

 

■まとめ

日本企業の海外M&Aは、海外市場に関する知識不足、M&Aの経験不足、デューデリジェンスの不備などが問題となっています。日本製鉄のUSスチール買収が成立すれば、日本企業による海外M&Aはさらに活発になる可能性があるでしょう。

最後に

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