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2024.04.08

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M&A後の組織変革管理

M&Aが実施された後、その成功は投資先・買収先の組織変革管理に大きく依存します。

この記事では、M&A後の組織変革管理について詳しく解説します。

1.なぜ組織変革管理が必要なのか

M&Aは、事業承継問題や事業構造改革を目的とした大企業の子会社の買収など、企業の新たな価値創造や事業拡大を目指す重要な戦略手段となっています。

しかし、M&A後の組織変革を適切に管理しなければ、新たな事業戦略はうまく行きません。

ひと口に組織変革といっても、長年培った文化や運営方法を変えるのは容易なものではなく、難航する場合もしばしば。社員に研修を行うだけでは不十分であることが多いため、M&A後の組織変革を成功させるためには、新たな事業戦略に基づき人材マネジメントの方針を見直し、様々な施策を組み合わせて行動の変容を促すことが必要です。

2.組織変革管理の進め方

組織変革管理は、基本的に以下の4つのフェーズに分けて進められます。

・フェーズ1(DAY0~1):DAY1に向けた統合・現状把握

人事デューデリジェンスを通じて、DAY1に向けた課題の現状把握やPMIプランの検討を行います。

・フェーズ2(DAY1以降1年目):変革に向けた基盤整備

フェーズ1で明らかになったリスクへの対応を始めとする、PMIプランを実行します。

社員の不安が高まるこの時期、企業全体のモチベーションが下がる恐れがあります。

企業への信頼が薄まれば、仕事の成果が芳しくなくなりビジネスが止まる可能性も。社員が安心して働けるようにするためにも、変革に向けた基礎整備は大切です。

・フェーズ3(2~3年目):改革期

事業戦略に呼応した人材マネジメントの変革や、さらなる成長に向けた変革が行われます。

・フェーズ4(4年目以降):次なる成長に向けた転換期

事業戦略と連携した形で、人材マネジメントの変革を適切なタイミングで実施します。

3.具体的な人材マネジメントのアプローチ

M&A後の組織変革を成功させるためには、人材マネジメントが欠かせません。

ここでは、小売業における人材マネジメント施策について考えてみましょう。

3-1・「客単価を上げる」という事業戦略をとる場合

客単価を上げるために、購入点数を増やすような取り組みを新しい事業戦略として始めたとします。

客単価を上げるにはさまざまな方法がありますが、これまで客単価よりも効率を重視して働いてきた社員にとっては、大きな課題になるでしょう。

これまで高い評価を得てきた人材が、新しい事業戦略において必ずしも優秀であるとは限りません。

そのため、客単価を上げるという新しい事業戦略に適応できる人材が求められます。

M&A後の組織変革を成功させるためにも、採用する側が求める人材像を再定義し、評価基準や社員教育の考え方まで、すべて見直す必要があるでしょう。

3-2・人件費を削減し、営業利益を増加させる場合

営業利益を増やすために、人件費を削減するとします。

具体的には、正社員の数を減らし、パートタイマーを増やしたとしましょう。

仕事に当たる人数は同じでも、正社員とパートタイマーでは、業務経験に差が生じるのは当然のことです。

パートタイマーを指導するために、正社員には業務を指導する責任が発生します。

さらに、さまざまな背景を持つパートタイマーと共に働き、良好な職場環境を作ることも求められるでしょう。

この新しい事業戦略では、以前は仕事だけに集中できていた正社員にとって、さまざまな責任が生じることになります。

このような組織変革に対応するためにも、採用や教育などを再構築し、適切な人材マネジメントを行う必要があります。

4.チェンジマネジメントの役割

M&A後の組織変革を成功に導くためには、チェンジマネジメントが重要な役割を果たします。

チェンジマネジメントとは、組織の制度や文化・風土、仕事のプロセス、メンバー間のコミュニケーションなどを意図的に変えていくアプローチのことを指します。

このアプローチは、組織が適応し、革新する力を高めることを目指しています。

組織変革を「場当たり的」に行うのではなく、組織の状態を見える化し、課題を特定した上で、必要な施策に計画的・意図的に取り組むことが求められます。

5.組織変革の実行

組織変革の実行には、経営トップのコミットメントが必要です。

チェンジマネジメントは、経営トップが個人的にコミットした全社的取り組みにならなければなりません。また、チェンジマネジメントを企業統合作業の設計・実施段階に深く組み込むことが重要です。

6.組織変革の成功事例

以下に、組織変革を成功させた事例を紹介します。

6-1・レノボ・ジャパン

レノボ・ジャパンは、NECのPC事業といった伝統ある組織の統合プロセスを成功させました。

組織を「静的。固定化されたもの」ではなく、「動的。変化するもの」と捉え、人材開発・組織開発の専門家が著した最新刊『M&A後の組織・職場づくり入門』(齊藤光弘・中原淳 編著、東南裕美・柴井伶太・佐藤聖 著、ダイヤモンド社刊)の中から、人と組織を統合する際の課題やアクションについて学びました。

6-2・株式会社マイネット

株式会社マイネットは、M&A後の統合プロセスの実務に取り組み、成功のコツを学びました。

ゲームサービス事業を展開するマイネットは、M&Aを定期的に行い、成長を続けている企業です。組織変革のため経営思想や組織構造を体感してもらい、その上に仕上がった人事制度や評価制度の合理性を浸透させる時間を取り、共通の目標に向けて動き出した後に運営上の組織体制を変更する手法で成功しています。

7.まとめ

M&A後の組織変革管理は、新たな事業戦略の達成、組織の強化、バリューアップといった重要な目標を達成するための重要な手段です。

M&Aを成功させるためには、組織変革管理について深く理解し、適切なアプローチを取ることが求められます。

M&A後の組織変革管理について理解を深め、M&Aの成功率を上げ、企業の持続的な成長を実現させましょう。

最後に

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