2023.12.05
M&Aコラム
企業価値の評価方法について
企業を売却する際、最も重要な要素の一つは企業価値です。 企業価値を正しく評価することは、適正な価格での売却を確実にするための準備です。 売却側(売り手)として企業価値を評価するための具体的な手法を詳しく解説します。
1. 企業価値とは?
企業価値とは、その企業が持っている資産や収益力、ブランド力などを総合的に評価したものです。
1.1 株式時価総額と有利子収益
一般的に、企業価値は「株式時価総額(株価×発行済み株式数)+有利子収益-現預金」で求められます。これをEV(Enterprise Value)と呼びます。有利子収益は、企業が利息をさらに加えて返さなければならない借入金のことを言います。
1.2 企業価値の評価方法
企業価値を評価する方法はいくつかありますが、一般的には以下の3つのアプローチが用いられます。
コスト・アプローチ
インカム・アプローチ
マーケット・アプローチ
各アプローチについては後述します。
2.コスト・アプローチ
コスト・アプローチは、企業が保有する資産価値や責任に基づいて企業価値を評価する方法です。 具体的な手法としては以下の2つがあります。
2.1 簿価純資産法
簿価純資産法は、企業の資産と限界の帳簿価格に基づいて評価します。 具体的には、帳簿上の資産額から負債合計額を差し引いて、算出された純資産を株式価値とみなします。
2.2 時価純資産法
時価純資産法は、資産額と負債額を時価に置き換えて評価します。これにより、企業の実際の価値をより正確に把握できます。
3. インカム・アプローチ
インカム・アプローチは、企業の収益価値をベースにして企業価値を評価する方法です。具体的には、DCF法(割引キャッシュフロー法)や収益還元法などが用いられます。
3.1 DCF法(割引キャッシュフロー法)
DCF法は、企業が将来予想されるキャッシュフローを現在の価値に照らして評価します。将来のキャッシュフローは予測に基づいているため、その精度が企業価値の評価に大きく影響します。
3.2 収益還元法
収益還元法は、企業の収益をベースに評価します。具体的には、企業の利益を一定期間で割り出し、それを現在の価値に基づいて計算します。
3.3 配当還元法
配当還元法は、企業が株主へ出す配当に基づいて評価します。具体的には、将来出すと予想される見通しを現在価値に基づいて検討します。
4. マーケット・アプローチ
マーケット・アプローチは、市場価格に基づいて企業価値を評価する方法です。具体的には、類似会社比較法や市場株価法が用いられます。
4.1 類似会社比較法
類似会社比較法は、同じ業界にある類似の企業の株価やデータを利用して評価します。具体的には、類似企業の株価収益率(PER)や株式価値(PBR)などを基準に評価し 、評価対象企業の企業価値を推定します。
4.2 市場株価法
企業評価や株式評価において使用される方法の一つです。この方法は、企業の実際の市場での株式価格を基に、その企業や株式の価値を評価する手法です。市場株価法は、特に公開企業の株式評価に適しており、株価を直接参照して企業の評価を行います。
5.EVとEBITDA
企業価値を評価する際に重要な指標として、EVとEBITDAがあります。EV(Enterprise Value)は企業価値を、EBITDAは企業の収益力を評価する指標です。
5.1 EV/EBITDA倍率
EVをEBITDAで割ったものをEV/EBITDA倍率といいます。企業評価や財務分析において広く使用される財務指標の一つです。この倍率は、企業の評価とその営業利益との比率を示します。EV/EBITDA倍率は、企業の収益性や評価を評価し、企業間の比較や投資判断に役立ちます。
5.2 EV/EBITDA倍率の計算方法
EV/EBITDA倍率の計算式は以下の通りです。
EV/EBITDA倍率 = (株式時価総額 + 純有利子負債 + 少数株主持分)/ (営業利益 + 減価償却費)
5.3 EV/EBITDA倍率の活用
EV/EBITDA倍率を活用することで、売却価格の適正性を評価したり、M&Aの成果を評価することができます。また、類似企業のEV/EBITDA倍率を参照することで、自社の企業価値の適正性を評価することも可能です。
6. 企業価値を高める方法
企業価値を高めることは、売却価格を上げるだけでなく、M&Aが有利に進むためにも重要です。以下、企業価値を高めるための具体的な方法がいくつか挙げられます。
6.1 収益力の向上
企業価値は収益力に大きく影響されます。
6.2 ブランド力の向上
ブランド力は、企業価値に大きく影響を与えます。優れた製品やサービス、信頼性の高い企業イメージなどによりブランド力を高めることで、企業価値を向上させることができます。
6.3 リスクの管理
企業価値はリスクの影響を受けます。慎重に、リスクを適切に管理することも企業価値を高めるために必要です。具体的には、収益の適正化や事業リスクの管理などが挙げられます。
7. まとめ
M&Aの売り手として企業価値を評価するためには、様々な手法と判断を見極め、適切に活用することが必要です。また、企業価値を高めるためには、収益力の向上、ブランド力の強化など、これらの点を認識し、適切な企業価値を評価することで、M&Aを成功させることができるでしょう。
最後に
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