M&Aコラム/動画/インタビュー

M&Aコラム
M&Aコラム/動画/インタビュー

2023.11.12

M&Aコラム

M&Aにおける企業価値評価

企業価値評価は、M&Aの際に重要な役割を果たします。 企業価値評価の結果により、売り手と買い手の価格交渉の基盤が形成され、双方が納得のいく取引を行うことが可能になります。この記事では、M&Aにおける企業価値評価の重要性とその手法について詳しく解説します。

1. M&Aにおける企業価値評価の役割

1.1 価格交渉の基盤

M&Aの成立には、売り手と買い手が価格について合意することが重要です。そのため、どちらも納得できる価格を導くためには、企業価値評価を行うために適正な価格を把握することが重要となります。価値評価の結果は、価格交渉の基盤となります。

1.2 取引を協議に進める

企業価値評価は、売り手と買い手が一つの「価格」に合意するための重要なプロセスです。どちらか一方の「価格」に合意すれば、通常はM&Aが成立します。しかし費用や時間的な問題、力関係などにより、M&Aが成立する価格がどちらにとっても魅力的でない場合もあります。そのため、企業価値評価を踏まえ適正な価格を見つけることで、取引を協議に進めることが可能となります。

2. 企業価値評価の方法

企業価値評価には大きく3つの方法があります。それぞれの方法には特徴と適用するべき状況があります。

2.1 コストアプローチ(時価純資産+営業権法)

コストアプローチは、企業の財産的価値や純資産価値に焦点を当てて価値を評価する手法です。帳簿作成が適正で時価情報が利用可能な状況では、客観的な評価方法として優れています。ただし、のれんなどが存在しない場合、将来の収益能力や市場での取引環境の影響を考慮するのは難しいです。

2.2 マーケットアプローチ(マルチプル法)

マーケットアプローチは、同業他社の類似企業や過去のM&A、取引事例など、類似する企業、事業、取引事例のさまざまな指標と比較することで価値を客観的に評価する手法です。ただし、他の企業との成長ステージが異なる場合や、比較対象の企業が見当たらない場合など、評価が困難なケースもあります。

2.3 インカムアプローチ(DCF法)

インカムアプローチは、企業から将来期待される利益やキャッシュフローに基づいて価値を評価する手法です。将来の収益獲得能力や本質的な特性を評価した結果に基づくため、優れた手法と言えます。ただし、評価対象の企業に関する情報が不足している場合や、客観性の問題が発生することもあります。

3. 企業価値評価の全体像

企業価値評価は、事業価値(企業の事業から生み出される価値)に非事業用資産(事業を営む必要がないための残余資産など)を加えたものが企業価値となります。企業価値から、有利子負債など株主以外に帰属する部分である他人資本を差し引いたものが株主に帰属する価値、すなわち株式価値となります。
これらの企業価値(株式価値)の求め方として、企業価値評価の理論(バリュエーション理論)において大きく3つの評価アプローチがあります。それぞれの方法は特定の状況や目的に適しています。

4. 企業価値評価の現場

企業価値の評価、特に株式価値の評価はどのような場面で必要となるのでしょうか。たとえば、事業承継における株式譲渡時、相続による株式取得時、増資や自己株式の取得などの資本取引時、合併比率の見積り等の組織再編時、株式・オプションの発行時、そしてM&A時などが挙げられます。

5. M&Aにおける企業価値評価の必要性

非上場企業のM&Aにおいて譲渡対象企業を丸ごと譲受側(買い手)に譲渡することを前提とする場合、売買対象となるものはその企業の株式です。そのため、対象企業の株式価値を決定する必要があります。

6. M&Aにおける企業価値評価の手法

企業価値評価の手法には、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)、乗数法、資産アプローチなどがあります。

6.1 DCF法

DCF法は、企業の将来のキャッシュフローを現在価値に換算することで企業価値を評価する手法です。将来のキャッシュフローは、企業の収益力や成長性を反映しています。この方法は企業の本質的な価値を評価するのに適しています。

6.2 乗数法

乗数法は、同業他社の株価と指標の比率(=乗数)をベースに企業価値を評価する手法です。この方法は市場の評価を反映しているため、市場の状況や同業他社の状況を理解することが重要です。

6.3 資産アプローチ

資産アプローチは、企業が保有する資産の価値を基に企業価値を評価する手法です。この方法は企業の状況を反映していますが、収益力や成長性などの重要な要素を見落とす可能性があるため、注意が必要です。

7. 企業価値評価の留意点

企業価値評価を行う際には、以下の点を考慮することが重要です。

7.1 企業の特性と状況

企業の特性や状況により、適切な評価法を選択する必要があります。例えば、成長性の高い企業や収益力の高い企業にはDCF法が適しています。

7.2 評価の目的

評価の目的により、適切な評価法が異なります。例えば、事業承継や相続税の計算のための評価には資産アプローチが適しています。一方、M&Aの価格交渉や投資判断のための評価にはDCF法や乗数法が適しています。

7.3 情報利用の可能性

利用可能な情報に応じて、適切な評価法が異なります。例えば、データが豊富に利用可能な場合には、DCF法や乗数法が適しています。それ以外の場合には資産アプローチが適しています。

8. まとめ

M&Aにおける企業価値評価は、売り手と買い手の価格交渉の基盤を形成し、取引を進めるための重要なプロセスです。 企業価値評価の手法には、DCF法、乗数法、資産アプローチなどがあり、企業価値評価を行う際には、企業の特性と状況、評価の目的、情報の利用可能性を考慮することが重要です。

M&A Passは、審査を通過した企業のみが掲載されている完全審査制M&Aマッチングサイトです。

全工程をオンラインのみで完結するサイトとは違い、マッチング後はファイナンシャルアドバイザーがリアルでサポート。

初めてのM&Aに不安を感じる経営者の近くで伴走します。

会員登録やサービス利用は完全無料です。

まずは情報収集の一環として、ぜひM&A Passへの会員登録をお願いいたします。

売り手の会員登録はこちら

買い手の会員登録はこちら

登録方法のサポートが必要な方はお気軽にお電話くださいませ。

M&A Passサポート窓口 0120-984-985(平日9:00〜17:30)

News

  1. トップページ
  2. M&Aコラム/動画/インタビュー
  3. M&Aにおける企業価値評価