スモールM&Aとは？注目を集めている理由について

2024.11.11

M&Aコラム

スモールM&Aとは？注目を集めている理由について

M&Aと聞くと、大企業による合併・買収のイメージがある方も多いようです。なにかと話題になりがちな大規模なM&Aですが、最近ではスモールM&Aにも注目が集まっています。今回は、スモールM&Aの定義や注目が集まる理由、注意点についてご紹介します。

■スモールM&Aについて

新型コロナウィルスによるパンデミックの影響で、一時は縮小した国内のM&A市場。飲食業界や旅行関連業界などでM&Aの件数は減少しましたが、最近では再び活発化し始めたようです。そんな国内のM&Aですが、近年スモールM&Aに関心を持つ方が増えています。

・スモールM&Aとは？

スモールM&Aとは、小規模事業や個人事業に多いM&Aです。スモールM&Aの定義としては、譲渡金額が1億円以下であること、売上高が数千万円～5億円以下であることなどが挙げられます。また、1000万円以下で実施されるM&AのことをマイクロM&Aと呼びますが、このM&AもスモールM&Aに含まれます。

小規模事業や個人事業に多いスモールM&Aですが、大企業の場合にも起こり得ます。例えば、小規模な事業体のみを事業譲渡する際には、大企業であったとしてもスモールM&Aになる場合があります。

・スモールM&Aで多い業種は？

スモールM&Aで多い業種は、飲食店や雑貨店をはじめ、学習塾や美容室、エステサロンやトレーニングジムがあります。大規模なM&Aでは、調剤薬局業界やIT・ソフトウェア関連事業、不動産業界や物流業界、建築業界などが人気のある業種・業界です。一方、スモールM&Aでは、主にサービス業が多く、サービス業界のM&Aは譲受側にとってノウハウの獲得や規模の拡大などをもたらします。

スモールM&Aでは、赤字や債務超過会社も対象になります。ブランド力やノウハウを手に入れることなどが目的であれば、資産より負債が多い債務超過であっても売買の対象になる場合もあります。また、スモールM&Aの手法としては、一般的なM&Aと同じく株式譲渡と事業譲渡がメインの手法とされており、合併や株式移転といった組織再編の手法は取られません。

■スモールM&Aが注目されている理由

成長戦略として行われるM&Aのほか、さまざまな理由で行われているM&A。ここでは、スモールM&Aが注目されている理由と注意点についてご紹介します。

・事業承継や独立・起業のチャンス

少子高齢化や都市部への人口集中のため、後継者問題に頭を悩ませる経営者の方の数は増える一方です。小さな会社であったとしても、会社を畳む際には廃業費用がかかる場合も。中には、手間と費用がかかる廃業よりも、M&Aで売却してしまおうと考える方もおられます。さらに、従業員のことを考えてM&Aに踏み切る企業もあるようです。実際、会社が廃業することで雇用の喪失は増加し、これを危惧した日本政府も事業承継型M&Aの支援を行っています。このように、小規模事業や個人事業の事業承継問題を解決するために、スモールM&Aが実施される場合が少なくありません。

また、スモールM&Aは、独立や起業、副業を考えている方から支持されています。大規模なM&Aに比べると、スモールM&Aは売買金額が低く、買収計画が立てやすい傾向にあります。スモールM&Aを行えば、事業をそのまま買い取ってブランド力やノウハウを獲得することができ、ゼロから会社を興すよりも労力や時間を抑えることが可能です。そのため、独立・起業を計画している方にとって、スモールM&Aは魅力的だといえるでしょう。

・スモールM&Aを行うときの注意点は？

M&Aの流れは従来のM&Aとほぼ同じですが、スモールM&Aならではの注意点があります。規模が大きな企業のM&Aの場合、情報源が豊かなため、対象企業への詳細な調査であるデューデリジェンスは比較的行いやすいといえます。しかしながら、零細中小企業や個人事業などを対象にしたスモールM&Aの場合、財務諸表や経営計画書がしっかり作成されていない、もしくはまったくない場合も少なくありません。情報不足は、M&Aの失敗に繋がる可能性があるため、専門家に頼ることも検討する必要があるでしょう。

■まとめ

事業承継のため、さらには独立・起業のために、スモールM&Aを利用する方は増えています。大規模なM&Aと流れは同じでも、手法や実施する際の注意点に関しては異なる部分もあるスモールM&A。従来のM&Aに比べて手をつけやすいとはいえ、スモールM&Aを成功に導くためにも、しっかりとした準備をする必要があります。