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2024.09.03

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三角合併が実施されるケースは?吸収合併との違いについて

M&Aの手法には、友好的なものと敵対的なものが存在します。三角合併は、友好的な提携で用いられる手法で、基本的には敵対的買収には用いられません。ここでは、三角合併が実施されるケースや特徴などについてご紹介します。

 

■三角合併の特徴

三角合併は、2007年に解禁されたスキームです。三角合併は日本企業はもちろん、外国企業が日本企業を買収する際に使用される場合が多いと言えます。吸収合併との違いについて、詳しく見ていきましょう。

・吸収合併との違いは?

M&Aにおける合併とは、主にグループ内の組織再編を目的に、さらには他社を完全子会社化する目的で、複数の会社を統合して1つにすることを意味します。吸収合併では、吸収される消滅会社の権利義務、取引先との契約や労働契約、負債までもすべて吸収する会社である存続会社が引き継ぎます。合併時には、消滅会社発行の株式も消滅するため、存続会社が消滅会社の株主に株式を交付します。吸収合併では主に株式が対価に用いられますが、実際には対価の種類に制限はありません。一方、三角合併では、存続会社の親会社の株式を消滅会社の株主に交付します。吸収合併との違いは、自社の株式や現金ではなく、親会社の株式のみを対価に用いる点にあると言えるでしょう。また、三角合併において、存続会社の親会社の国籍は規定されていません。

・逆三角合併とは?

三角合併と似た手法に、逆三角合併があります。似てはいるものの、三角合併と逆三角合併では、消滅する会社と存続する会社がそれぞれ異なります。逆三角合併はアメリカにおけるM&A手法の一つで、ブランド力のある対象会社を消滅させることなく合併したい時などに用いられる手法です。三角合併では、合併時に存続会社になるのは親会社が設立した子会社で、消滅会社は合併の対象会社になります。ところが、逆三角合併では、合併対象の会社が存続会社となり、親会社が設立した子会社が消滅会社となります。

 

■三角合併が行われるケース

三角合併は、海外からの要請で解禁された手法として知られています。ここでは、三角合併がどのような時に実施されるかを見ていきましょう。

・クロスボーダーM&Aで実施される三角合併

現行の日本の会社法では、海外企業が日本の企業を直接合併することは不可能であり、認められていません。しかしながら、三角合併を行うことで、海外企業による日本企業の合併を行うことが可能です。三角合併では、存続会社の親会社の国籍を規定していません。そのため、海外企業が日本の企業をM&Aする際には日本に子会社を設立し、子会社を通して親会社である自社の株式を交付し、合併することができます。クロスボーダーM&Aに用いられる手法であり、海外企業は三角合併をすることで、合併時に現金を支払うことなく、自社株式で日本の企業を傘下にすることが可能です。経団連は、三角合併は友好的な手法であると認めつつも、完全子会社化した企業などへの対価に対する厳しい説明責任を海外企業に課するよう提言しています。

・非上場企業を存続会社とする場合の三角合併

三角合併は海外の企業だけではなく、日本の企業同士の場合にも行われることがあります。しかしながら、現金を使用せずに株式だけで企業を買収できるのが三角合併のメリットと言うのであれば、株式交換などを行うことで目的を達することができ、わざわざ三角合併を行う必要はありません。日本の企業同士のM&Aで三角合併が用いられる場合は、存続会社が非上場企業で、消滅会社が上場企業であるケースなどです。

・三角合併が実施された事例

日本で初めて、三角合併を用いた海外企業による日本企業のM&Aが行われたのは、2007年のことでした。2004年度および2005年度の粉飾決算問題で経営難に陥った日興コーディアルグループは、外部支援として米シティグループの支援を受けることにします。米シティグループは、シティグループ・ジャパン・ホールディングスを通じて、日興コーディアルグループを完全子会社化。この三角合併により、「日興シティホールディングス株式会社」となりました。

 

■まとめ

三角合併は、海外企業による日本企業の完全子会社化を可能にします。友好的M&Aである三角合併は吸収合併の流れと同じく、存続会社と消滅会社双方が合併条件などを協議した上で合意、株主総会で承認するという手続きが行われます。三角合併が用いられることは日本国内ではあまりありませんが、M&Aを検討する際に、M&Aの手法の一つとして覚えておくと良いかもしれません。

最後に

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