2024.08.29
M&Aコラム
リシュモンとは?M&Aを活用して事業拡大に成功した複合企業
ファッション業界の三大コングロマリット(複合企業)の一つであるリシュモン(Compagnie Financière Richemont SA)。 LVMHとケリングがフランス系であるのに対し、リシュモンはスイス系のコングロマリットとして知られています。今回は、世界トップクラスのラグジュアリー企業であるリシュモンが、M&Aを通してどのように成長したのかについてご紹介します。
■リシュモンのはじまり
主に、高級時計とジュエリーで有名なラグジュアリー企業であるリシュモン。世界のラグジュアリー企業ランキングでは、 LVMHとエルメスに次いで、第3位にランクインしています。そんなリシュモンの歩みは、意外にもタバコ事業から始まりました。
・リシュモンの前史
リシュモンは、1988年に南アフリカの実業家であるヨハン・ルパートによって設立されました。しかし、リシュモンの歴史は、1941年にヨハンの父親であるアントン・ルパートによって始められた、ささやかなタバコ事業にまでさかのぼることができます。実際、1960年代後半にカルティエと契約していなければ、いまのリシュモンは存在しなかったかもしれません。医者になりたかったアントン・ルパートでしたが、学資不足のためにその夢を諦めます。1930年代に起こった大恐慌の際には、経済危機にもかかわらず、タバコやアルコールの消費が減らないことに気付き、自宅のガレージでタバコを作り始めました。アントン・ルパートは、わずか10ポンドと2人の投資家からの資金援助をもとにボーブランド・タバコ会社を設立します。1948年には、社名をレンブラントに改名してワイン、蒸留酒、食品、鉱業、銀行などの分野に多角化していきます。
・カルティエが傘下に入ったきっかけは?
1959年、世界初のガスライターメーカーであるシルバーマッチ社を設立したロベール・ホックは、1968 年にカルティエとのコラボレーションを開始します。ゴールドの高級ガスライターをデザインしたことをきっかけに、カルティエの可能性に着目した彼は、投資家グループと買収を検討します。その際、アントン・ルパートは、カルティエ・ブランドのタバコの製造ライセンスと引き換えに、カルティエ・アメリカの株式の20%を取得することを申し出ました。こうして、リシュモンの前身であるレンブラントは、ラグジュアリー業界に参入することになります。カルティエが正式にリシュモン傘下のブランドになったのは1993年のことですが、ロベール・ホックが交通事故でこの世を去った後、レンブラントはカルティエの過半数の株式を取得し、フランス、英国、米国の部門を 1 つの事業体に統合しました。
■M&Aを通して伝統あるブランドを傘下に
レンブラント社の高級品事業を独立させることで誕生したリシュモン。ここでは、リシュモンがM&Aを通して巨大コングロマリットへと成長していった過程をご紹介します。
・リシュモンの誕生
ヨハン・ルパートは、ニューヨークのラザードで銀行員を務めていました。彼はレンブラント・グループを2つの事業体に分割することを提案します。こうして、スイスに本拠地を置くリシュモンが誕生し、ヨハン・ルパートがCEOに就任しました。ヨハンはすぐに、世界で最も有名な高級ブランドを擁する複合企業を設立するために動き出します。こうして、リシュモンが設立された1988年には、1830年創業のボーム&メルシエ、1833年創業のジャガー・ルクルト、1874年創業のピアジェといったスイスの老舗高級時計ブランドを買収します。
・リシュモンのM&Aによる成長
その後、前述したように1993年にはカルティエ、そしてダンヒルを、1996年には世界最古の高級時計メーカーの 1 つであるヴァシュロン・コンスタンタン、1997年にはパネライを買収。さらに3年後の1999 年には、職人技と革新的なデザインで有名なパリの宝飾品会社ヴァンクリーフ&アーペルを買収しました。2000年代になると、IWCシャフハウゼン、ハケットロンドン、ロジェ・デュブイなどが傘下に入り、リシュモンの基礎が築かれます。また、2019年にはイタリアのジュエリー ブランドであるブチェラッティを買収。この買収により、リシュモンの収益の67%を占めるジュエリーブランドが補完されたと言えます。
■まとめ
リシュモンは、ラグジュアリー業界における地位を強化するためにM&Aを行ってきました。高級時計とジュエリー、ファッションの高級ブランドを傘下に持つリシュモンですが、ユークス・ネッタポルテ・グループなどのオンラインリテーラー事業も所有しており、さらなる成長を遂げようとしています。
最後に
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