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2024.08.16

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M&A戦略における敵対的買収とは?メリットとデメリット

M&A戦略の一つである敵対的買収は、株式公開買付けによって行われます。名前から判断すると、「悪い」「弱いものいじめ」などネガティブなイメージがする敵対的買収。しかし、メリットもあります。今回は、敵対的買収が起こる理由やメリットとデメリットについてご紹介します。

 

■敵対的買収は違法行為ではない?

日本国内の敵対的買収は少ないとはいえ、まったくない訳ではありません。ここでは、敵対的買収がどのように行われるのか、敵対的買収が起こる理由について見ていきましょう。

・敵対的買収とは?

株式公開買付け(TOB)とは、不特定多数の株主に買付価格や期間などを公告し、株式市場外でそれらの株を買い付けることです。総発行株式の保有が50%超であれば、会社を支配可能に。株式公開買付けは、短期間で大量の株式を取得できる制度です。M&Aが行われる場合、買収される側が合意した後に株式の取得が行われます。このような買収を友好的買収と呼び、大半の買収はこの友好的買収です。一方、敵対的買収とは、買収される側の合意なしに株式の取得が行われることを指します。ちなみに、経済産業省は、敵対的買収を「同意なき買収」と定義しています。

・敵対的買収が起こる理由

敵対的買収は、しばしば会社乗っ取りと表現されることがあります。しかし、違法ではありません。買収対象の会社の経営陣の賛同を得てはいませんが、企業にメリットをもたらす場合もあります。敵対的買収は、経営陣と株主が対立した場合や親族内の揉め事が発端になるケースがありますが、れっきとした企業の成長戦略の一つです。敵対的買収が行われた結果、ダメな経営陣を追い払い、買収者のお眼鏡にかなう者に交代させて、買収前よりも企業価値が上がる場合もあります。

 

■敵対的買収のメリット、デメリット

経営陣側に問題がある場合、敵対的買収は企業を救う手立てとなります。敵対的買収から得られるメリット・デメリットについてご紹介します。

・シナジー効果への期待

シナジー効果によって経営が効率化するのが、敵対的買収を行うメリットです。販路拡大や仕入れ、物流コストの削減を実現できるかもしれません。また、技術やノウハウを統合することでさらなる成長を目指せるでしょう。これらシナジー効果が得られるのであれば、企業の経営が衰退するのを回避できるだけでなく、企業としての成長を促すため、株主や従業員、取引先にとっても良い影響を与えることになります。企業の存続に欠かせないM&A戦略の一環として実施された場合、株主が不利益を被ることはなく、従業員の雇用は守られます。

・失敗が多い敵対的買収

メリットがあれば、デメリットもあるもの。企業を経営破綻から救う手立てにも思える敵対的買収であったとしても、デメリットがあります。例えば、敵対的買収は失敗に終わるケースが多く、成功したとしても「乗っ取られた会社」として、企業のブランドイメージが低下する恐れがあります。また、M&Aの成功には欠かせないデューデリジェンスを行うことができませんから、リスクに気づくことができない場合も。さらに、敵対的買収で経営陣が変更されたり、経営方針が変更されたりすることなどに不安を感じて、優秀な従業員が離職するといった可能性もデメリットとして挙げられるでしょう。

・仕掛けられやすい企業とは?

敵対的買収を仕掛けられやすい企業としては、買収防衛策を講じていない、株価が安い、価値の高い技術や特許を有しているといった特徴が挙げられます。また過去には、経営戦略の対立から、敵対的買収を仕掛けられてしまうといったケースも。例えば、2019年に伊藤忠商事がデサントに敵対的買収を仕掛けたケースは、その最たるものでしょう。

 

<国内初の敵対的買収成立事例>

1964年、伊藤忠商事とデサントは、ゴルフウェアを共同販売します。長らく良い関係が続いた両社でしたが、商法の違いから、2013年にデサントは連絡をすることなく伊藤忠出身の社長を退任させます。また、韓国事業を伸ばしたいデサントに対し、伊藤忠商事は中国市場を押すなど、経営面で対立を深めました。2018年、デサントが事前連絡なしにワコールとの提携を決めたことが決定打となり、伊藤忠商事はデサントに敵対的買収を仕掛けます。デサントの従業員約9割が反対署名をしたにもかかわらず、敵対的買収は成立しました。

 

■まとめ

敵対的買収は、M&A戦略の一つとして行われます。シナジー効果が期待でき、競争力を強化することができるでしょう。多くの敵対的買収は専門家の意見をもとに実施されます。敵対的買収を行う場合には、メリットとデメリットをよく検討する必要があるでしょう。

最後に

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